Menu fusion — Clair de lune
名月の宴
季節 9月ジャンル 和洋折衷想定客単価 ¥24,000〜28,000
十五夜を軸に、雲丹・戻り鰹・松茸・鴨と無花果。出汁とヴィネグレットを往復する初秋の折衷7皿を、月の色のブランマンジェで締める。
1. 先付・アミューズAmuse

胡麻豆腐 雲丹のせ 山葵
Sesame Tofu with Uni and Wasabi
なめらかな胡麻豆腐に雲丹を重ねた会席の先付。器の余白と影で見せる、引き算の美学。
- 野菜づかい
- 山葵を薬味でなく色の要素として扱い、淡緑の円錐で立てる。
- 色構成
- 象牙(豆腐)×橙(雲丹)×淡緑(山葵)を紺地で締める。彩度の高い橙を最小面積で効かせる。
- 仕上げ・ハーブ
- 天に木の芽を一枚。掌で叩いて香りを立ててから載せる。
2. 前菜Entrée

戻り鰹のタタキ 焦がし葱のヴィネグレット
Seared Returning Bonito with Charred Scallion Vinaigrette
脂の乗った戻り鰹を藁の香りで炙り、焦がし葱のヴィネグレットを合わせる。和の薬味を洋の酸で束ねる9月の前菜。
- 野菜づかい
- 長葱は黒くなる直前まで焼き切り、甘さと燻香をヴィネグレットに移す。生の薬味は使わない。
- 色構成
- 鰹のガーネット×炙り皮の銀×焦がし葱の黒。秋の赤身の色をそのまま主役にする。
- 仕上げ・ハーブ
- にんにくチップの金と紅蓼の赤紫を少量。香ばしさの記号を上に集める。
3. スープSoupe

かぼちゃの冷製ポタージュ 焦がしセージ
Chilled Kabocha Potage with Crisped Sage
残暑の9月に冷たく仕立てるかぼちゃのポタージュ。パンプキンシードオイルの深緑と焦がしセージの香りで秋の入口を告げる。
- 野菜づかい
- かぼちゃは裏漉しで絹の面を作り、ローストした種を「同じ野菜の別の顔」として中央に戻す。
- 色構成
- 橙の地にシードオイルの深緑の渦。補色を油で描く。
- 仕上げ・ハーブ
- 揚げたセージを一枚立てる。香りと立体を一手で足す仕上げ。
4. 麺・米・粉物Riz & Pâtes

早松茸と新銀杏の土鍋ご飯
Claypot Rice with Early Matsutake and Young Ginkgo
走りの松茸を薄く割いて炊き込み、新銀杏の翡翠色を散らす土鍋ご飯。香りで季節を宣言する9月の米物。
- 野菜づかい
- 松茸は走りゆえ薄めに割いて全面に放射状に。銀杏の翡翠を10粒ほど、多すぎない密度で散らす。
- 色構成
- 白飯の艶×松茸のベージュ×銀杏の翡翠×三つ葉の緑。秋の淡い色調で揃える。
- 仕上げ・ハーブ
- 三つ葉は歯応えの残る茎ごと。酢橘は縁に一切れ、香りは食卓で搾らせる。
5. 魚料理Poisson選べる2皿

銀鱈の西京焼き はじかみ添え
Saikyo Miso-Marinated Black Cod
西京味噌に漬け込んだ銀鱈を、味噌の糖分で照りが出るぎりぎりまで焼き上げる。焦げの美しさが技術の証明になる焼物。
- 野菜づかい
- はじかみ生姜一本だけを添える引き算の構成。桃色の茎が唯一の彩り。
- 色構成
- 飴色の照り×焦げの濃淡×黒い皿。ほぼ単色の世界に、はじかみの淡紅を一点。
- 仕上げ・ハーブ
- ハーブは使わない。味噌の焦げ斑と皮目の艶が仕上げそのもの。

秋刀魚のコンフィ 焼き茄子のピュレ 酢橘
Sanma Confit with Smoked Eggplant Purée and Sudachi
初秋の秋刀魚を低温の油でしっとり火入れし、焼き茄子の燻香を敷く。和の食材をフレンチの文法で組む9月の魚料理。
- 野菜づかい
- 焼き茄子は皮を完全に外し、燻香だけをピュレに残して魚の下に敷く。「秋茄子×秋刀魚」の同季重ねが主題。
- 色構成
- 秋刀魚の銀青×ピュレの灰×酢橘の緑。金属的な光を灰色で受け止める。
- 仕上げ・ハーブ
- 紫蘇の芽(マイクロシソ)を3点だけ皮目に。実山椒をピュレに数粒沈めて香りの伏線に。
6. 肉料理Viande選べる3皿

黒毛和牛フィレの炭火焼き 山葵とジュ・ド・ヴィアンド
Charcoal-Grilled Wagyu Fillet with Wasabi and Jus
和牛フィレを炭火で焼き、洋のジュと本山葵を並走させる。京野菜の焼き目で「和」の座標を示す肉料理。
- 野菜づかい
- 賀茂茄子と万願寺唐辛子を炭の焼き目ごと添え、京野菜で「和」の座標を示す。
- 色構成
- ロゼの断面×炭の黒×茄子の紫×万願寺の緑。和の色を洋のジュで繋ぐ。
- 仕上げ・ハーブ
- 紫蘇の芽を数点。山葵は直前におろし、辛味の立つうちに供す。

鴨ロースの炭火焼き 無花果と実山椒
Charcoal-Grilled Duck with Fig and Sansho
炭火の鴨ロースに、焼いた無花果と実山椒のジュ。フレンチの鴨×果実の定石を、山椒の痺れで和へ引き寄せる。
- 野菜づかい
- 無花果を野菜枠で使い、半割の断面焼きで甘さを香ばしさに変える。
- 色構成
- 鴨のロゼ×炭の黒×無花果の赤紫。秋の暮れ色でまとめる。
- 仕上げ・ハーブ
- 実山椒の緑の粒をジュに沈める。ハーブは載せず、痺れの香りで締める。

豚バラの黒糖角煮 粒マスタード
Kurozato-Braised Pork Belly with Grain Mustard
黒糖と醤油で照りよく炊いた角煮に、粒マスタードの酸を差す。和の煮物を洋の薬味で締める折衷の豚。
- 野菜づかい
- 小松菜一株を折り畳んで青味に。白髪ねぎは水に晒してカールさせ天へ。
- 色構成
- 黒糖の漆黒の照り×脂の飴色×小松菜の緑。黒い皿で照りだけを光らせる。
- 仕上げ・ハーブ
- 粒マスタードの粒感が洋の記号。煮汁の艶が最後の一手。
7. デセールDessert

白胡麻のブランマンジェ 金木犀のシロップ
White Sesame Blancmange with Osmanthus Syrup
白胡麻を炊き出したブランマンジェに、9月に香る金木犀のシロップ。名月の宴を締める、月の色のデセール。
- 野菜づかい
- 花(金木犀)を唯一の飾りに。果実もソースの色数も足さない。
- 色構成
- 白(月)×琥珀のシロップ×紺の器(夜空)。三色で名月を描く。
- 仕上げ・ハーブ
- 金木犀の小花を散らしすぎない。香りが立つ量の下限で止める。