Menu de saison — Octobre
深まる秋、山の恵み
季節 10月ジャンル 多国籍想定客単価 ¥24,000〜28,000
柿・蕪・栗・ポルチーニ・甘鯛・蝦夷鹿・洋梨。山の実りとジビエで組み立て、ベージュから深紅へ色温度を下げていく7皿。紅蓼・セルフィーユ・アマランサス・ビーツの芽をさりげなく差す。
1. 先付・アミューズAmuse

柿と春菊の白和え 胡桃
Persimmon and Chrysanthemum Greens Shira-ae with Walnuts
熟れはじめの柿の甘さを、春菊のほろ苦さと白和え衣で包む。10月コースの静かな始まり。
- 野菜づかい
- 春菊は茹でて水気を絞り、葉先だけを使う。柿の橙が白衣から透ける濃度に和える。
- 色構成
- 白衣×柿の橙×春菊の深緑×胡桃の茶。灰釉の器で秋の彩度を受ける。
- 仕上げ・ハーブ
- 春菊の若葉を一枚だけ天に。胡桃は半割のまま、砕かず形を見せる。
2. 前菜Entrée

炙り〆鯖と焼き蕪 柚子胡椒
Seared Cured Mackerel with Charred Turnip and Yuzu-koshō
秋鯖を軽く締めて皮目だけ炙り、甘く焼いた蕪と重ねる。紅蓼のひとつまみを利かせた10月の前菜。
- 野菜づかい
- 小蕪はくし切りの断面だけを強火で焼き、甘さと焦げの対比を作る。生の食感を少し残す。
- 色構成
- 鯖の銀×蕪の白と焼き色×紅蓼の赤紫。白い器で銀の光を立てる。
- 仕上げ・ハーブ
- 紅蓼をひとつまみ、鯖の上へ。和のマイクロハーブの基本形、香りは辛味系を選ぶ。
3. スープSoupe

栗のポタージュ ポルチーニの香り
Chestnut Potage with Porcini
栗の深い甘さに乾燥ポルチーニの出汁を重ねる。湯気ごと供したい10月のスープ。
- 野菜づかい
- 栗と茸を「森の同じ場所のもの」として中央の島にまとめ、スープに沈めず見せる。
- 色構成
- ベージュ〜茶の同系濃淡でまとめ、セルフィーユの緑一点だけを許す。
- 仕上げ・ハーブ
- セルフィーユを一葉。羽状の葉がポタージュの面に落とす影も景色にする。
4. 麺・米・粉物Riz & Pâtes

ポルチーニ茸のリゾット
Porcini Risotto
フレッシュポルチーニの香りを米に移し、焼いた一枚を上に飾る。10月の米物はきのこの王様一本で勝負する。
- 野菜づかい
- ポルチーニを「混ぜ込む」と「上に飾る」の二段で使い、香りの主張を立体にする。
- 色構成
- 小麦色の地×ポルチーニの金茶。ほぼ単色で、焼き面の艶だけを光らせる。
- 仕上げ・ハーブ
- イタリアンパセリは2枚だけ。緑を最小限にして茸の茶を邪魔しない。
5. 魚料理Poisson選べる2皿

マスの軽い塩締め バターミルクとディルオイル
Lightly Cured Trout, Buttermilk and Dill Oil
北欧の静かな皿。橙のマス、白いバターミルク、緑のディルオイルの三色を、余白を最大に取って配置する。
- 野菜づかい
- ラディッシュの極薄輪切りを魚の上に散らし、赤い縁のリズムを作る。
- 色構成
- 鮮橙(マス)×白(バターミルク)×濃緑(ディルオイル)。北欧らしい寒色系の余白。
- 仕上げ・ハーブ
- ディルの小さな羽葉と塩の薄片。オイルの円を崩さないのが技術の見せ所。

甘鯛の松笠焼き きのこの出汁ナージュ
Tilefish Matsukasa-yaki in Mushroom Dashi Nage
鱗を立てて揚げ焼きにする松笠仕立ての甘鯛を、きのこ出汁のナージュに浮かべる。鱗の食感が主役の10月の魚料理。
- 野菜づかい
- 舞茸としめじは小房で出汁に泳がせ、菊花の黄を散らして「秋の野」を水面に描く。
- 色構成
- 鱗の金×出汁の淡琥珀×菊の黄×青磁の器。淡い色で層を作る。
- 仕上げ・ハーブ
- アマランサスの赤紫をひとつまみ、鱗の頂に。菊花は数枚で止める。
6. 肉料理Viande選べる3皿

蝦夷鹿ロースのロースト カシスと黒胡椒 根菜のロティ
Roasted Venison Loin with Cassis, Black Pepper and Root Vegetables
狩猟が始まる10月のジビエ。蝦夷鹿のロゼ色の断面にカシスの酸と黒胡椒。焼いた根菜を大地の脇役に置く。
- 野菜づかい
- 人参・蕪・ビーツを「焼いた大地」として左に寄せ、肉と対にする。ビーツの深紅はカシスと色で韻を踏む。
- 色構成
- 鹿のロゼ×クラストの黒×カシスの暗紫×ビーツの紅。暗色系の濃淡に根菜の金を差す。
- 仕上げ・ハーブ
- ビーツの芽(マイクロビーツ)をジュの上に。桃色の茎がソースの暗さに小さく灯る。

ラムと杏のタジン アーモンド
Lamb Tagine with Apricots and Almonds
スパイスと蜂蜜で煮込んだラムに杏とアーモンド。円錐蓋のタジン鍋を開けた瞬間の湯気ごと切り取りたい一皿。
- 野菜づかい
- 干し杏を甘味の点として肉の上に6粒。アーモンドで食感の粒を足す。
- 色構成
- 琥珀のソース×杏の橙×アーモンドの生成り。テラコッタと青模様が額縁になる。
- 仕上げ・ハーブ
- コリアンダーの葉を散らす。蜂蜜の照りがソース表面の光になる。

牛カルビの炭火焼き
Charcoal-Grilled Beef Galbi
甘辛いヤンニョムに漬けた骨付きカルビを炭火で。照りと焼き目、胡麻の散らし方で香りまで見せる。
- 野菜づかい
- サンチュを奥に重ねて「包む」文脈を示し、白髪ねぎを肉の天に小さく山にする。
- 色構成
- 濃いマホガニーのタレ照り×白胡麻の点描×小ねぎとサンチュの緑。
- 仕上げ・ハーブ
- 白胡麻と小口ねぎを全体に。白髪ねぎは水に晒してカールさせる。
7. デセールDessert

洋梨の赤ワインポシェ キャラメルとアールグレイ
Red Wine Poached Pear with Caramel and Earl Grey
洋梨を赤ワインで静かに煮含め、アールグレイのアイスと苦めのキャラメルを合わせる。ハーブを使わず艶で締める10月のデセール。
- 野菜づかい
- 果実一個を削らずそのまま立てる。赤ワインの染みた深紅から根元の淡色へのグラデーションが装飾の全て。
- 色構成
- ガーネット(洋梨)×琥珀(キャラメル)×乳白(アイス)。色数を三つで止める。
- 仕上げ・ハーブ
- ハーブは載せない。「引き算も仕上げ」の見本として、洋梨の艶だけで締める。